マンジャロ


TOP メディカルダイエット マンジャロ(チルゼパチド)

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)

Mounjaro / Tirzepatide

マンジャロは、米国のイーライリリー社が開発し、日本では田辺三菱製薬が販売している「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる新しいタイプのお薬です。現在は主に2型糖尿病の治療薬として使用が認められていますが、その非常に高い体重減少効果からダイエット目的でも注目されています。

これまでダイエットに用いられてきた「リベルサス」や「オゼンピック」は「GLP-1」という1つのホルモンにのみ働きかけるお薬でした。一方、マンジャロは「GIP」と「GLP-1」という2つのホルモンに同時に働きかける世界初の画期的なお薬であり、より高い体重減少効果が期待できます。実際の臨床試験でも「1年半で体重の約20%が減った」という報告があり、体重100kgの人なら20kg、50kgの人なら10kgの減量もあり得る計算になります。

なぜダイエットに効くのか?(効果とメカニズム)

私たちの血糖値は、すい臓から出る「インスリン」というホルモンによってコントロールされています。食事をして血糖値が上がると、腸から「インクレチン(GIPやGLP-1)」と呼ばれるホルモンが分泌され、すい臓に「インスリンを出して!」と指令を出します。しかし、体内から出る自然なインクレチンは、酵素によってすぐに壊されてしまうという弱点がありました。そこで、酵素に壊されにくく、長時間しっかり働くように人工的に作られたのがマンジャロです。

マンジャロがダイエットに効く主な理由は以下の通りです。

  • 必要な時だけ賢く働く:空腹時には効果を発揮せず、食事をして血糖値が上がった時にだけインスリンを出すよう働きます。そのため、危険な「低血糖」を起こしにくいという優れた特徴を持っています。
  • 食欲を強力に抑える:すい臓だけでなく、胃や脳にも作用します。胃の動きをゆっくりにして食べたものが長く留まるようにする(胃内容排出遅延作用)ことで、少量の食事でも満腹感が長続きし、食欲を抑えます。
少し詳しいお話:インスリンが出る仕組みと2つのホルモンの役割

食事をとって血糖値が上がると、細胞内でエネルギー(ATP)がたくさん作られます。すると細胞の「カリウムの通り道」が閉じて細胞が興奮状態(脱分極)になり、今度は「カルシウムの通り道」が開いてカルシウムが細胞内に入ってきます。これがスイッチとなりインスリンが放出されます。

食物が小腸に運ばれてくると、上部のK細胞からGIPが、下部のL細胞からGLP-1が分泌されます。これらがすい臓に到達すると、細胞内のATPを「cAMP」という物質に変換し、それがさらに「PKA」や「Epac2」という物質を介してカルシウムを放出させ、インスリンを分泌させます。実は、インスリン分泌の約7割がこのルートで行われており、そのうちの2/3をGIPが、1/3をGLP-1が担っています。

  • GLP-1の働き:すい臓(インスリン分泌促進・グルカゴン分泌抑制)、脳(食欲抑制・満腹感増強)、胃(消化運動を遅らせる)のほか、肺や心臓、腎臓などにも作用し心筋保護作用などをもたらします。
  • GIPの働き:すい臓(インスリン分泌促進・食後のグルカゴン分泌刺激)、脂肪組織(中性脂肪の蓄積促進)、脳(食欲抑制・制吐作用)、骨組織(カルシウムを骨に蓄える)などに作用します。
  • GIPのパラドックス:GIPには脂肪を蓄える働きがあるにもかかわらず、薬として使うと体重が減少する不思議な現象(GLP-1パラドックス)があります。最新の研究では、GIP受容体作動薬が「レプチン」という満腹誘導ホルモンの分泌を促し、脳の視床下部にある満腹系神経(POMC神経など)を直接活性化することで、食欲を抑えて脂肪燃焼を高めることが示唆されています。
チルゼパチドによるインスリン分泌メカニズム図
図:チルゼパチドによるインスリン分泌メカニズム(膵β細胞)
GLP-1とGIPのすい臓での作用の相違

GLP-1は、インスリン分泌を促進するだけではなく、すい臓から血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制することにより、血糖値を下げる作用も有しています。これに対し、GIPは血糖を上昇させる働きのあるグルカゴンを分泌させる点はGLP-1と異なります。

GIPとGLP-1受容体の分布と役割

GLP-1とGIPの受容体は、膵臓のランゲルハンス島(特にβ細胞)以外にも、全身の様々な組織に分布し、血糖調節やエネルギー代謝を制御しています。GLP-1受容体は主にすい臓、脳、肺、心臓、腎臓、胃腸に、GIP受容体は脂肪組織、すい臓、骨、脳、副腎などに広く分布します。その主要な作用は以下の通りです。

GLP-1の主な作用 GIPの主な作用
①すい臓 ランゲルハンス島β細胞でインスリン分泌促進、α細胞でグルカゴン分泌を抑制 膵臓β細胞でのインスリン分泌を促進し、α細胞でのグルカゴン分泌を刺激(食後の血糖依存性)
②脳 視床下部や脳幹に作用し食欲抑制、満腹感増強を誘導 中枢性食欲抑制作用、制吐作用
③胃・脂肪組織 胃の消化運動を遅らせ(胃内容排出遅延作用により)満腹感を持続させ、血糖急上昇を抑制 脂肪組織での中性脂肪(TG)の蓄積を促進
④その他 肺、心臓、腎臓などに作用し、心筋保護作用などをもたらす 骨芽細胞に直接的に作用し、食事中のカルシウムを骨に蓄え骨代謝を調節。副腎、心臓にも作用

GIPのパラドックス:GIPには脂肪を蓄える働きがあるにもかかわらず、薬として使うと体重が減少する不思議な現象(GLP-1パラドックス)があります。最新の研究では、GIP受容体作動薬が「レプチン」という満腹誘導ホルモンの分泌を促し、脳の視床下部にある満腹系神経(POMC神経など)を直接活性化することで、食欲を抑えて脂肪燃焼を高めることが示唆されています。

マンジャロの構造的な特徴

マンジャロは、天然のGIPの配列をベースにした39個のアミノ酸からなるペプチドです。天然GIPに似ているためGIP受容体に非常に強く結合し、さらに配列の一部をGLP-1と共通の構造に置き換えることで、GLP-1受容体にも結合できるように最適化されています。また、血中での効果を長持ちさせるため、C20の脂肪酸(二塩基酸)が結合しており、これが血液中のアルブミンと結びつくことで薬が分解・排泄されるのを防ぎ、週1回の注射を可能にしています。

マンジャロの臨床試験データ(有効性)

2.5mgから開始し52週間(12カ月)投与した場合の体重減少効果

マンジャロを使用した研究では、使用前の体重と比較して、2.5mgから開始して52週間(12カ月)投与した場合1年以内に以下のような体重減少効果が報告されています。

最大 5mg
5.8kg
平均体重減少量
5週目〜最大5mg投与
最大 10mg
8.5kg
平均体重減少量
4週間ごとに2.5mg増加
最大 15mg
10.7kg
平均体重減少量
4週間ごとに2.5mg増加

A Comprehensive Review on Weight Loss Associated with Anti-Diabetic Medications
Fatma Haddad. Et, al. Life, 2023 Apr 14;13(4):1012. doi:10.3390/life13041012.

マンジャロの副作用と注意点

安全に使用するために知っておきたいこと

よくある副作用(5mgのデータ)
  • 悪心(17.4%)
  • 下痢(13.2%)
  • 食欲減退(7.4%)
  • 消化不良(7.2%)
  • 便秘(6.8%)
  • 嘔吐(5.7%)
  • 腹痛(3.0%)
重大な副作用(要注意)
  • 低血糖
  • 急性膵炎
  • 胆のう関連疾患(胆のう炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸)
GLP-1受容体作動薬は胆のうにも作用するため、胆のう関連疾患に注意が必要です。発熱、白目が黄色くなる、腹痛、皮膚が黄色くなる、体の痒み等の症状が現れた場合はすぐに医師に相談してください。

よくある質問(Q&A)

マンジャロに関するQ&A

次回投与までの期間が3日間(72時間)以上であれば、気づいた時点で直ちに投与し、その後はあらかじめ定めた曜日に投与してください。次回投与までの期間が3日間(72時間)未満であれば投与せず、次のあらかじめ定めた曜日に投与してください。
2〜8℃で遮光保存する場合、チルゼパチドの使用期限は24ヵ月です。使用期限は外箱に印字されていますのでご確認ください。なお、30℃以下の室温で保存した場合(遮光下)は、21日以内にご使用ください。
マンジャロは週1回2.5mgから投与を開始し、週1回2.5mgを4週間続けた後、週1回5mgの維持用量に変更します。維持用量の週1回5mgを4週間以上投与した後、状態に合わせて増量が必要かどうかを主治医が判断します。
マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬とよばれるタイプの薬です。GIP/GLP-1受容体作動薬は空腹時には働かず、食事をとって血糖値が高くなったときに働くため、それだけでは低血糖を起こしにくいといわれています。ただし、SU薬やグリニド薬、インスリンと一緒に使う場合は低血糖への注意が必要です。
マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬とよばれるタイプの薬です。血糖値を下げるお薬を使うと体重が増えることがありますが、GIP/GLP-1受容体作動薬は体重増加をきたしにくいお薬です。
2型糖尿病治療の基本は食事療法・運動療法です。薬による治療を始めた後も、食事療法や運動療法は続けていきます。2型糖尿病の治療では、血糖値が下がらないときだけでなく、血糖管理がよくなったときにも、お薬を減らす、他の種類に変えるなど、治療を見直します。例えば、マンジャロ(GIP/GLP-1受容体作動薬)の様な注射薬から飲み薬に変えることもあります。また、食事療法や運動療法をやめてしまうと、肥満が進んでしまったり、インスリンの働きが悪くなったりして、治療の効果が弱まってしまいます。

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